あまり文句ばっかりいっていてもしょうがないので、多少は建設的なことを書いてみようと思う。私は介護職員10年目、それ以前は登録型の派遣でいわゆるIT土方といわれる現場作業員として食いつないでいた。その経験から、介護業界における派遣の現状とその課題、さらにはその先の展開を考えてみることにする。
まず、現状の介護業界においては、派遣社員はあくまでも割高な欠員補充としてしか機能していないようだ。人材の品質は保証されなくてもしょうがないという感じ。とりあえず介護報酬の請求のため、頭数を揃えておこうという考え方でしかないようである。
人材派遣契約というのは、あくまでも一時的なものであって、恒久的なものではない。一時的に夜勤要員が足りないから手配するとか、産休の代理とかそういう使い方が本筋である。よってある程度の年月がたてば、派遣先への直接雇用を打診されるのは当然のことである。
同じ給料であっても、マージンが30%程度あることは珍しくないので、手取りは10%あげても、派遣会社に払うよりは得になることが多い。これがごく一般的な派遣の使い方である。
ワタリといわれる職人タイプを目指すのであれば、業務そのものを請け負うアウトソーサーを目指す方向になる。運転業務なんかは昔からそうだけど、介護現場における特定の分野に秀でたプロフェッショナルになることだ。排泄介助、食事介助、睡眠介助、入浴介助のエキスパートになることで、どんな施設でも品質の高いケアを提供できれば、それなりのコストを払う意味もあるだろう。教育要員としても重宝されるかもしれない。でもこれは自己研鑽が不可欠だろうと思う。
将来的には人材派遣会社が業務そのものを請け負う会社になっていく可能性もある。人材教育専門特化することで正社員の研修を請け負ったりする可能性もある。派遣会社が機密保持契約を結び、そのノウハウを一般化することができれば、これは大きな商品になっていくだろう。これには派遣社員のコミュニティが必要不可欠だが、機密保持のルールだけはしっかりしておかないと単なる情報漏洩になってしまう。でもこれによって業界のスタンダードができていく。
そういった流れはすでにSNS上にその萌芽がある。個人情報に配慮しつつ、特定されない形での情報公開は地道に進んでいる。こういった文脈のなかで介護業界における派遣は理解していくとよいと思う。