時給1000円介護施設職員の憂鬱

分かりやすく、介護職員の時給を1000円としてみる。夜勤が長引いて、24時間勤務になったとする。往々にしてよくあることである。そうすると、一勤務あたり2万4000円となる。そんなキチガイ勤務は一ヶ月に10回が精一杯なので、人件費は24万円用意する。それ以上増えることがないお得な定額パックだ。これで後は好きな金額で労働基準法にあうように計算すればいい。そもそも労働時間と休憩時間の定義すら曖昧なので、いくらでも額面の操作は可能だ。残業代を支払ったことにすればよい。勤務評定下げて、時間あたりの単価を下げれば、どんなに働いても24万円に収まるだろう。残業が多いのは生産性が低いからだといい放てばいい。
一ヶ月あたりの労働時間は240時間だから、法廷労働時間の176時間を引けば、残業は66時間。過労死ラインを下回るので、合法である。書面上、残業代が支払われていれば、誰も気づかないし、労働基準監督署も動きようがない。
実際上はここまで働けるタフな人間はほとんどいないから、もっと人件費は削ることができる。これがなんと管理監督者のインセンティブとして働く。介護職員を安く、奴隷のように働かせることのできる人間がドンドン給料が上がり、有給休暇をとって海外旅行へ行ける訳なのだ。
こんな介護施設では、利用者を減らさないためになるべく定員一杯まで詰め込み、ただ生かすだけになる。そんなものはケアとは呼べない。

処遇改善交付金があっても、介護報酬は減ったので、結局のところ介護職員の手取り給与は増えなかった。かえって減った例すらある。余計な書類仕事が増えて職務が停滞し、事務員の仕事が増えただけに終わった。
処遇改善交付金を誰に分配は各事業者に委ねられているから、いうことを聞くイエスマンに分配し、後のどうでもいい介護職員の給料は下げられる。
キャリアパス要件があるじゃないか?といわれるかもしれない。大抵の場合研修に参加することで、キャリアパス要件を満たすという仕組みになっているのだが、ほとんどの介護職員は現場が人手不足なので研修には参加できず、能力以前に昇給の機会がない。
つまりは出来レースであり、管理者が可愛がっているイエスマンだけ見せかけの研修を受けて昇給する。そういう人間だけが現場を踏み台にして出世して高い給料をもらっていく。

時給1000円の介護職員には昇給はない。減給と自己都合によるクビがあるだけなのだ。