徴兵制について

徴兵制を復活させようとか言う政治家が時々出てきますが、正直申し上げて正しく徴兵制を理解しているとは思えないような人たちばかりだ。
徴兵制度
国民全員に国防の義務を課すということがどれだけ大変なことなのかサッパリわかっていないと思う。大日本帝国の徴兵制度を体験した人たちがすでにほとんど現役から退いており、その郷愁みたいなものに憧れを抱いているだけだろうと思う。たしかに大日本帝国は数百万とも言われる動員を実現したが、それは長い年月をかけて作り上げたものであり、一朝一夕にできたものではない。明治維新から一応の完成を見た日露戦争まで30年以上たっている。太平洋戦争の大動員までにまたさらに30年はかかっている。これだけの計画性を持った政策を持たなければ、到底徴兵制度など実現不可能だ。
そもそもナゼ徴兵制度が必要になったのか?それは戦争の形態として大量の歩兵を必要とする戦争だったからだ。それは第一次世界大戦でピークを迎える。日露戦争はその前哨戦のような働きをした。国家総力戦の扉を開いたのが日露戦争だったのだ。そのために国民全員に銃を配り、訓練を施すことが国防上必要になった。そうやって世界中の国々は、若者たちに銃をもたせる訓練に躍起になっていった。
第二次世界大戦ではその様相が変わってくる。航空機や軍艦の進歩によって、歩兵よりも兵器の大量生産能力が、国家の戦力となっていった。あらゆる物を総力で生産しなければ戦争には勝てなくなったのだ。その象徴的な例がアメリカ合衆国である。それなので徴兵制による訓練よりは、生産に振り向けないといけなくなった。そのモデルチェンジに日本は失敗した。歩兵を大量に養成する仕組みを変えることができなかったのだ。
なので徴兵制度を考える前に、どうやって国防を実現するかを考えないと、制度そのものが構築できないと思う。
経済的な意味での徴用ならば、よくわからない税金が海外へ流れることで実現している。社会保険料あり、思いやり予算あり、米国債あり。アメリカのよくわからない高い兵器を言い値で買わされているのもまあ安全保障料。ヤクザのみかじめみたいなもんであろう。