無法者の長い夜。

夜勤って長くて大変ですね。と言われることがよくあるんですが、感覚的には「時間が足りない」と思うことのほうが多かったです。なぜかというとやることがいっぱいあるからです。
まあ大体夜勤の流れというのはこんな感じです。
15:30〜16:00 日勤からの申し送り
16:00〜17:00 見回り、夕食の準備 夕刊なんかを持ってきて配る。この時に大体の様子を見ておくとスムーズ。
17:00〜19:00 夕食誘導、介助、服薬、口腔ケア 臥床介助
19:00〜21:00 眠前薬、一回目の巡視 場合によっては少し休憩できるときもある
21:00〜23:00 コール対応 排泄介助一回目
23:00〜01:00 種々の作業を行う(洗濯とか翌日の準備とか湯冷ましなんかも作っておくといい)
01:00〜03:00 一番静かな時間ではあるが、疲れも出てくる時間。記録なんかはこの時間でまとめておかないと間に合わない
03:00〜05:00 コール対応 排泄介助二回目 ここが最終防衛ライン。ここで大体夜勤の出来不出来が決まってしまう。
05:00〜07:00 嵐の起床介助。コール対応しつつ全員を起こしていく。
07:00〜09:00 早番到着。朝食介助をしてほぼ終了が見えてくる
09:00〜10:00 まあ見守りぐらいならしててもいいけどさ・・・。意識は朦朧としています。
一見余裕が見えるかもしれませんが、常にコール対応があるので、それに対しての構えを忘れることはできません。落っことしたら夜勤者の責任です。意外と危ないのがリーダークラスの夜勤。他に仕事を抱えていて、夜勤中にやろうとしてフロアを離れていることが多く、またごまかす能力にも長けているので、一見発覚しませんが、後でえらいことになっていることもあります。私は意地でもフロアを離れることはしませんでした。
一番いやだったのは、残業だかなんだか知らないけどバカ大声を上げて事務所で盛り上がっている人たち。私は施設長だろうがなんだろうがそういう人がいたら注意しました。だってご利用者様が数メートル先で寝ようとしているのに馬鹿騒ぎで起こされてはたまらないからです。仕事が終わった解放感で盛り上がるのはよそでやってくれと言いたかったです。夜勤者はここからが本番なんだから・・・。それと同様に、夜勤明けに仕事を申し付ける人がまあ多いこと多いこと。二日酔い同然で意識が朦朧としてるんだから何言われてんだかわからん状態なのよ?そういう人達に日勤帯の業務を手伝わせるのはいい加減にしろと言いたくなりましたね。
夜勤明け残業がなければ回らない現場はどうにかして欲しいです。夜勤者は大抵の場合、全てのケアができる人が多いから、頼りにされるんでしょうけれど・・・。そんな延長戦は勘弁して欲しい・・・。なんてことをつい8ヶ月前までやってたんですなぁ。前日から延長戦が決まっていると、夜勤はとてもしんどくなります。朝までがんばろうってのが昼までになるわけで・・・。
こういう事態はほとんど明るみに出ません。わかっていて黙っているのはもっと悪質だと思います。夜勤なしとかいう求人を見ているともっとゲンナリします。そんな人しか来ないんでいつまでも夜勤がキツイんです。16時間の夜勤は楽ではないですけれど、きちんと体制が整っていれば、別にそれ自体が劣悪なわけではありません。昼夜逆転が放置され続けているとか、1時間に1回呼び続けることが日課になっている人とか、そういうことが何ら対策をされず放置されていることが問題なんです。最低限びしっと時間に終わっていれば、まあ何とかなるのですが。
現行の労働法にも問題があります。変形労働時間制においては一ヶ月176時間となっていればよく、その気になれば月12回の夜勤を定義することができます。一回の夜勤を14時間半とし、12回。1時間半をごまかしてしまえば万事解決という鬼のようなシフトを組んでも合法なのです。ああ、休憩時間をとったことにして実質的な拘束時間を増やす手だってありましたね。それで18時間拘束なんてザラです。場合によっては20時間拘束ぐらいになってたんじゃなかったじゃないでしょうか。
私は夜勤9回をやったことがあります。入、明、入、明、休、早、入、明、みたいなシフトになってとてもきつかったです。
まさに介護施設の夜は無法地帯なんです。毎日日本中の夜にこれが繰り返されていることをもっと知ってほしいと思います。