経管栄養の介護

最近、過去の介護経験を思い出すことが出てきた。
ふと思い出したのは経管栄養の方の介護だ。
実は言うと介護職員は経管栄養の方の介護でできることはかなり限られる。
管がついた部分から水分や、栄養分を補給することは医療行為であり、看護師にしかできない。
だから、介護職員にできるのは、体位交換と排泄介助、入浴、更衣、バイタルチェック位なものである。
私はここから身体介助、とくに排泄介助の基礎を学んだ。
胃ロウから栄養が補給され、排泄されるまでの時間間隔なんかは今で使っている。
胃ロウの人たちをみて曰く、医療資源や税金の無駄使いだと。入口論としては正しいが、今生きているということを評価して欲しい。みんな一生懸命生きている。
そもそも胃ロウというのは嚥下機能が低下したときに一時的にバイパスをつくって、栄養分を補給するためのものである。嚥下機能を回復させる訓練をして、胃ロウを外せるのが理想だ。しかし、現実的には高齢者の場合難しいことも多い。
だが口腔への刺激が無意味な訳ではなく、嚥下機能が回復とまではいかなくても唾液を循環させる位のレベルには、なんとか持っていくことができると思う。現実にも何人かそういう人をみている。
人間の身体は結構融通無碍な所があり、微細な細胞レベルでうまいことやるのかも知れない。
声を出してもらうことは嚥下機能の回復にとても重要な要素である。胃ロウの方が声を出したらチャンスかもしれない。
味のするもので口腔を刺激するのもよいだろう。できることは結構あると思う。決して焦らないことも大事。時間はたっぷりあると思って粘り強くやるしかない。